ここ数年で「ホリスティックケア」「ホリスティック医療」の普及が進んでいます。ホリスティックとは、ギリシャ語のホロス(全体性)を語源とする言葉で、全体的な、包括的なという意味です。医療に関してホリスティックという言葉が用いられる場合、健康のために広い視点からケアを行うことを意味します。
つまり、病気そのもの、体の一部だけでなく、病気を引き起こした原因となる食生活や生活環境などその人の背景を考えて、病気になりにくい心と身体、環境づくりをサポートすることをホリスティックケアといいます。
日本の医療現場では、基本的に手術や投薬を実施する西洋医学メインの健康・治療のアプローチを行います。もちろん、そうした治療は病気回復に必要なものですが、西洋医学だけではフォローできない部分があるのも事実です。
たとえば患者さんの痛みやだるさなど体の不調を軽減したり、不安感や緊張などメンタル面での不調を緩和したりするのは、西洋医学だけでは賄いきれません。そこで役に立つのがホリスティックケアです。ストレス社会の中で、原因の分からない不調、慢性的な心身のトラブルを抱える患者さんが増えている中、これは医療現場に求められるスキルの1つだと言っても過言ではないでしょう。
アメリカではすでにホリスティックナースという、ホリスティック専門の看護師がおり、看護学校でもケアの一環としてホリスティックがカリキュラムに取り入れられています。重度の病気や緩和ケアなどの病棟で働く看護師の方にとって、メンタルケアに活かせるスキルはとても重要になってきます。心身に働きかけるメディカルアロマの知識を学んで、人々にやさしく寄り添う看護ケアを実践してみてはいかがでしょう。